退団したらお笑い転身?オッサンでもわかる宝塚歌劇!星組トップスター紅ゆずる入門

ここは慎重に筆を進めなければ‥‥うかつなことを書けば石が飛んできそうなほど熱狂的ファンがひしめく宝塚歌劇。 ただ誘われて、オッサンがなんとなくついていったのは星組公演「ANOTHER WORLD」。すなわち「あの世」の世界。 ナントこれが、予想に反して爆裂おもろかったんですわー。



宝塚でこんなに笑えるとは

HayaraseTaro(2018,05)

2018年ゴールデンウィーク、
とあるセレブ美女からのお誘いで、
宝塚歌劇の鑑賞に出かけることになりました。
あんなもん(とかいってたら怒られますが)
別にオッサンが観てもおもしろいもんだと思いませんよね、
ふつうは。
ヒラヒラ、テカテカ、ケバケバ、な、おねえさんたちが、
脚上げて、歌って
なんか、そんなもんですから。
>あー、あれねー、
>・・・・・・・・・・・・

ですよ。
「・・・」が長いのが特徴。)
それにわたし、
初めてじゃなかったので、
ワクワクもないわけです。
誘われたからお供しますって感じでしたけど、
期待値はほぼゼロ。
帰りにとあるセレブ美女とどこでお食事するかっていうほうが>
よっぽど楽しみだったりしたわけですけども。
ところがどっこい
あにはからんや。
なにこれ、
コメディー?
めっちゃおもろいやん!
イケてるやん!
笑えますやん!
>えーっ、あれ、あの人、
>トップスターっちゅうんですか、なんですか、
>カッコよろしいがな、な、
>誰ですのーっ!?


て感じで、
けっこう軽薄に盛り上がれてしまったわけですやん。

オッサンのための紅ゆずる入門

ええですよー、
べに子ちゃん。
オッサンも安心して応援できる、
めっちゃおもろい大阪人です。
声がええし、
しゃべくりがええ。
タカラジェンヌといえば「清く正しく美しく」ですけども、
オッサン的にはもうそんなん求めてませんし、
たとえ日本の演劇史上に残る不朽の名作「ベルサイユのばら」だろうと、
途中で居眠りしてしまったかもしれないし、
そんなことよりカラッと笑わせてくれたほうがバッチリ満足できるわけで、
>それならハナっから宝塚なんか来るな!

てハナシなんですけども‥‥
はい、おっしゃるとおり、
わかってまんがなーでおますがな。
ほんならオッサンは宝塚歌劇とは縁もゆかりもなくあっさり見捨てられるんかと思いきや、
ちゃーんとこんなふうにお笑いもイケる美形なトップスターがそこにおるやおまへんかー!!

ちゅう驚き。
ヅカのことはぜんぜん知らんわたしですが、
お笑いにはちょっとウルサイですし、
落語となればこれはもう人並み以上に知ってます。
が、
べに子ちゃんの、
ちょっとしゃがれの入った、
超高速巻き舌のしゃべくりは絶品。
ザ・カミガタ
でっせ。
お笑いもイケる美形って、
わたしの中ではそんなんが最強。
ま、しょせん、
にわか紅ファンですが、
べに子ちゃんについてちょいと紹介させてもらいますとな──
生年月日:1982年8月17日(35歳)
本名:松本紗由美(まつもとさゆみ)
00年に宝塚音楽学校に入学、
02年に88期生として宝塚歌劇団に入団し、
初舞台は星組公演の「プラハの春」「LUCKY STAR!」。
08年、
「スカーレット・ピンパーネル」で新人公演初主演。
11年、バウホール公演「メイちゃんの執事」で初主演に選ばれ、
12年、星組の男役2番手スターに昇格。
14年、「風と共に去りぬ」で全国ツアー初主演。
16年11月、前トップ北翔海莉の後任として相手娘役に綺咲愛里を迎え星組トップ‥‥
‥‥??
ま、
これだけの経歴を並べてはみたものの、
それが順調だったんだかどうなんだか、
オッサンにはさっぱりわからんもんですから、
とあるセレブ美女なおねえさんに確認してみたところによると、
これでなかなか下積みが長かったそうなんですな。
べに子ちゃん、
入団時の成績は48人中47番‥‥
早い話がケツから2番や。
02年の初舞台から05年まで初ゼリフもなし。
08年「アンナ・カレーニナ」のアレクセイ・カレーニン役が転機となって、
やっと認知されたくらいの遅咲きです。
最初で最後の新人公演主演作品「スカーレットピンパーネル」で、
それまでひとりで銀橋を通ったことないくらいだったのが、
ありえない大抜擢。
一世一代の大勝負をモノにして、
そっから巻き返しの猛チャージが始まるんですが、
2番手時代もけっこう長いし、
まさに忍耐と努力の人って感じで、
しんどいときほど人は成長するってことをよくわかってらっしゃるあたり、
オッサン的に大いに共感するわけです。

ド素人でもわかる宝塚歌劇団のしくみ

宝塚歌劇の幕開けは1914年、
大正時代にさかのぼります。
歌劇団にはぜんぜん関心ないオッサンでも、
小林一三(こばやしいちぞう)の名前くらいは知ってますわな。
箕面有馬電気軌道(阪急電鉄の前身)創始者であり、
阪急東宝グループのドンであり、
関西産業界においてはまぎれもなくレジェンド、
経済界の巨人です。
小林一三翁の話をしかけたら、
それだけでサイト丸ごとできてしまうくらいなので、
ここでは深く踏み込みませんけども、
宝塚歌劇団をつくったのは小林一三翁、その人です。
もとはといえば、
電車の乗客を増やすために、
百貨店やら温泉やら映画館やら、
人の集まる施設をつくろうという発想があった。
劇団もそのひとつ。
宝塚新温泉にあった室内プールが閉鎖されので、
集客目的でこのプールを利用して、
温泉場の余興として少女たちに歌を歌わせようということになった。
そんなこんなで1913年に結成された宝塚唱歌隊っていうのが、
同じ年の12月に宝塚少女歌劇養成会と名前が変わり、
後の宝塚歌劇団へとつながっていきます。
なので初公演が行われたのは室内プールを改造した劇場で、
客席はフタをしたプール、舞台は脱衣所、
演目は桃太郎を題材にした「ドンブラコ」など3本。
だいじょうぶかいな?
って感じの船出ではありましたが、
観客動員数はその後も順調に推移します。
1919年には、
宝塚音楽歌劇学校が設立され、
少女歌劇養成会は解散し、
新たに宝塚少女歌劇団として発足します。
1924年には当時3000人の収容を誇る
宝塚大劇場が完成。
宝塚少女歌劇団が改称して宝塚歌劇団となったのは、
1940年(昭和15年)のことです。
現在も当時も、
団員は未婚の女性にかぎられてまして、
男性役ももちろん女性が演じるわけで、
これを「男役」と呼びます。
現在の歌劇団は、
花、月、雪、星、宙(そら)の5組と、
いずれの組にも所属しない専科に分かれておりまして、
各組のスターの頂点に立つ男役が「主演男役」とか「トップスター」と呼ばれ、
各公演で主演を務めることになっております。
(女役は「トップ娘役」といいます。)
なんですが、
詳しくない者には宝塚の「トップスターに就任」みたいな言い方が妙に聞こえるはずです。
>トップスターって、
>就任するもんなん?

ですよね。
そもそも宝塚じゃないところの「スター」とは意味がちがうってとこ、
入門編でぜひ押さえてもらいたいですね。
宝塚には「スターシステム」っていう独自のシステムがありまして、
これが1980年代に確立していったわけですが、
このシステムが採用される以前と以後とでは、
「スター」という言葉のもつニュアンスがずいぶん変わってます。
「トップスター」や「トップ娘役」は、
はっきりと定義の決まっている宝塚独自の用語でして、
すべての本公演で主演を務める組の「顔」を指します。
任期も決まっていて、
だいたい2年から4年くらい。
それより上のない位ですから、
トップになったらもうあとは退団しかありません。
近い将来のトップスター候補は「2番手」といいまして、
舞台ではトップスターの次に目立つ役(敵対する役とか親友役とか)が与えられることが多く、
本公演以外では主演を務めることもあります。
いかがでしょうか。
こうした独特なヒエラルキーを理解することが、
ヅカを楽しむキモになるって感じ、
伝わってますでしょうか?
略してヅカキモ!
‥‥
いやー、それはいわんわー。

男たちもヅカへ行こう!

よく耳にするのは
>ヅカのファンは女の人ばっかりなので、
>男が行ったら浮いてしまって恥ずかしい

みたいな話。
実はわたし、
今回が2度めの宝塚大劇場だったんですが、
確かに、
24年前に初めて足を運んだときの印象では
まわり女性ばっかりっていう記憶があります。
年上の女性友達に連れてってもらったんですが、
その方がご多分に漏れずキョーレツなヅカフリークで、
初めてのわたしのために最前列のど真ん中の席を取ってくださったんですね。
はやらせ太郎青年31歳。
ハッキリ言って、
めっちゃ恥ずかしかったです。
1994年のゴールデンウィーク中ということで、
あとで調べてわかったことですが、
真矢みきさん出てたんですねー。
演目は「ブラックジャック」
あんぐりぽかーんとしてるうちに終わってしまったのか、
ストーリーとかセリフとか、
まったく何ひとつ覚えてません。
帰りに手塚治虫記念館に寄ったらしいのですが、
それすらも何ひとつ覚えてません。
もしかしたらわたしにとってのヅカデビューは恐怖体験でしかなく、
とにかく記憶から消し去りたかったのかもしれません。
もう2度と来ることはないだろうと思いましたし、
実際、
それから24年もの歳月が流れました。
なんとなくついてきただけの今回は、
男の人もたくさん来てましたし、
前回とはぜんぜんちがう印象でした。
さすがに男ばっかりのグループ風なのはいませんでしたが、
夫婦とか家族とか、
年齢層もまんべんなく散らばってたようで安心しました。
うん、
だいじょうぶだぞ男たち!
まずは紅ゆずるの男前な上方トークから、
ちょっとずつ免疫をつけていこうではないか!